仮歯の期間がない
従来の方法では、修復物ができあがるまでの1〜2週間を仮の詰め物で過ごします。この間に仮着材が溶けてすき間ができる、細菌が入り込む、歯や仮歯が欠ける、仮歯が外れるといったことが起こり得ます。即日治療では、削った当日に最終的な修復物を接着するため、この期間そのものがありません。
火・水・金・土 10:00-18:30 月・木・日曜祝日休診
CEREC ONE DAY
型どりも仮歯もなく、1回の来院でセラミックの修復を終える。CERECワンデートリートメントです。
CEREC(セレック)は、口腔内スキャナーで歯の形をデータとして読み取り、院内の装置でセラミックのブロックから修復物を削り出して、その日のうちに接着する治療法です。粘土のような印象材による型どりを行わず、修復物ができあがるまで仮歯で過ごす期間もありません。
多くのケースで、1回の来院・約1〜2時間で装着まで完了します(状態により複数回となる場合があります)。
院長は1999年にこの治療法の臨床と研究に着手し、2010年に開発者であるチューリッヒ大学 Werner Mörmann 教授のもとへ留学して直接指導を受けました。当院は自由診療専門で、この治療に必要なまとまった診療時間を確保できる予約体制をとっています。
ABOUT
口腔内スキャナーで歯をデータ化し、院内のCAD/CAMでセラミックブロックから修復物を削り出して、同じ来院日のうちに接着する治療法です。
従来のセラミック治療では、歯を削って型をとり、その型を歯科技工所へ送って修復物を製作します。できあがるまでの1〜2週間程度は、仮の詰め物や仮歯で過ごし、後日あらためて来院して装着します。
CERECでは、この工程を診療室内で完結させます。3D光学スキャナーで歯の形を読み取り、画面上で修復物の形を設計し、装置がセラミックのブロックから削り出します。工業的に生産されたセラミックブロックを削り出すため、材料の質が均一であることも特徴です。色調は既製のブロックの範囲内で選択します。
1970年代後半から80年代初頭にかけて、歯科用CAD/CAMシステムは世界で3つのグループが研究開発を進めていました。アメリカとフランスのグループは、クラウンやブリッジの製作を目標として精密な適合とかみ合わせの再現を追求したため、装置が大型化し、製作に時間とコストがかかり、実用化が遅れたと言われています。
一方、CERECを開発したチューリッヒ大学の Mörmann 教授は保存修復学を専門とし、「その日のうちにむし歯の穴を詰める」ことをコンセプトに研究開発を行いました。CERECが最初に実際の臨床で使われるシステムになったのはこのためで、ワンデートリートメント(1 Day Treatment)は開発当初からの設計思想です。
CERECの歴史と、院長がこの領域で研究を始めた経緯についてはCEREC研究の沿革のページで詳しくご説明しています。
ONE DAY
利点は通院の手間が減ることだけではありません。仮歯の期間に起こりうるトラブルを、工程ごとなくすことができます。
従来の方法では、修復物ができあがるまでの1〜2週間を仮の詰め物で過ごします。この間に仮着材が溶けてすき間ができる、細菌が入り込む、歯や仮歯が欠ける、仮歯が外れるといったことが起こり得ます。即日治療では、削った当日に最終的な修復物を接着するため、この期間そのものがありません。
セラミックは単体ではもろい材料ですが、樹脂系の接着材で歯としっかり一体化させることで強度が高まることが、多くの研究で報告されています。接着の結果は歯の面の状態に左右されます。当日中に処置を終えることで、仮着材の残留や汚染を受けていない面に接着できます。
光学スキャナーで読み取るため、型どり材を口に入れて固まるのを待つ時間がありません。嘔吐反射が強い方の負担が軽くなります。石膏模型を技工所へ郵送する工程もないため、模型の変形といった要因も減ります。
色や形、かみ合わせを、患者様ご本人に鏡で確認していただきながら当日中に調整できます。技工所へ製作を委託する方法では、仕上がりを確認できるのは次回の来院時です。
次のような場合は、複数回に分けて治療を行います。無理に1日にまとめることで結果が損なわれないよう、診査の段階で見通しをご説明します。
INDICATION
奥歯の中程度のむし歯や、銀歯・レジンのやりかえに適した治療です。一方、ブリッジや、残存歯質が少ない症例では適応となりません。
なお当院は自由診療専門で、セラミック修復を中心とした診療を行っています。入れ歯を主とした治療や小児の診療は承っておりません。
COMPARISON
技工所へ製作を委託する従来の方法と、院内で当日中に製作する方法を、手順と特性の違いとして整理しました。どちらが適しているかは口腔内を診査したうえで判断します。
| 項目 | 従来のセラミック(技工所へ委託) | 当院の即日セラミック治療(CEREC) |
|---|---|---|
| 通院回数・期間 | 2〜3回以上。技工所での製作に1〜2週間程度を要し、その間は仮歯で過ごす。 | 多くのケースで1回の来院(約1〜2時間)で装着まで完了。状態により複数回となる場合があります。 |
| 型どりの手法 | 印象材または光学印象で採得し、模型を技工所へ送付する。 | 3D光学スキャナーでデータ化。粘土様の材料を使わず、模型の郵送工程もありません。 |
| 仮着期間 | 接着により適合は良好だが、仮着期間中の仮歯の脱離や汚染が起こることがある。 | 当日中に接着まで完了するため、仮着期間に伴う工程がありません。経過はデータで追跡できます。 |
| 色調の再現 | 歯科技工士の手作業により1歯ずつ色調を再現でき、審美性は高い。 | 工業生産されたセラミックブロックを削り出すため材料が均質。色調は既製ブロックの範囲内で選択します。 |
| 再製作 | 再度型どりを行い、技工所へ製作を依頼する。 | 設計データが保存されているため、同じ形の修復物を製作できます。 |
FLOW
初診では診査・診断とご説明を行います。修復の処置日は、診査の結果とご希望に応じて調整します。処置当日は、次の工程を続けて行い、約1〜2時間で装着まで完了します。
問診、口腔内診査、レントゲン検査、口腔内写真により現状を確認し、治療方針と費用、想定される回数をご説明します。適応の判断と、1日で完了できる見通しもこの段階でお伝えします。
局所麻酔を行い、むし歯に感染した部分を除去します。金属の修復物をやりかえる場合は、ここで金属を外します。
接着を前提とした設計により、修復物の厚みを確保するためだけに削る量を抑えます。健康な歯質をできるだけ残すことを方針としています。
3D光学スキャナーで、形成した歯とその周囲、かみ合う歯をデータとして読み取ります。粉をかける必要はありません。
読み取ったデータをもとに、画面上で修復物の形とかみ合わせを設計します。隣の歯との接触の強さ、咬合面の形態をここで決めます。
装置がセラミックのブロックから修復物を削り出します。この間は診療室内でお待ちいただきます。
実際に歯に合わせ、適合、隣の歯との接触、色調を確認します。必要に応じて形を調整します。
防湿を行い、歯とセラミックの双方に接着処理を施したうえで接着します。セラミック修復の耐久性を左右する工程で、当院が最も時間をかけるところです。
かみ合わせを確認して調整し、表面を研磨します。ここまでで当日の処置は終了です。
後日、装着した修復物とかみ合わせの状態を確認します。以降は定期的なメンテナンスで、かみ合わせのチェックとむし歯・歯周病の予防を行います。
APPROACH
この治療法は、装置を導入すれば同じ結果が出るというものではありません。削り方、接着、設計、そして診療時間の確保が結果を分けます。
金属の修復物は歯に接着しにくいため、外れないように歯を削って形の力で保持する必要がありました。セラミックは樹脂系の接着材で歯と一体化させられるため、保持のためだけに削る量を減らせます。当院は、健康な歯質をできるだけ残すことを方針としています。
セラミックは単体ではもろい材料ですが、歯としっかり接着させることで強度が高まります。院長は大学院以来、修復物が口の中でどのように変化するか、二次う蝕をどう抑えるかを研究の中心に据えてきました。長期の追跡研究でも、象牙質接着材を用いた症例のほうが成功率が高かったことが報告されています3。防湿と接着処理の手順を省略しません。
CAD上の設計は自動で提案されますが、そのまま使うわけではありません。隣の歯との接触の強さ、咬合面の形、辺縁の位置を症例ごとに調整します。装置の性能が上がった現在でも、削り方やスキャンの仕方といった一つひとつの条件が仕上がりに影響することは変わりません。
この治療法は、1人の患者様に対して1〜2時間程度のまとまった時間を必要とします。開発されたスイスでも同様です。日本の一般的な診療体制の中でこの時間を確保するのは容易ではなく、時間が足りないまま無理に進めることが臨床トラブルの一因になります。当院は自由診療専門で、この時間を確保できる予約体制をとっています。
設計したデータは保存され、万一破損した場合にも同じ形の修復物を製作できます。装着後の経過は、定期的なメンテナンスの中でかみ合わせとともに確認していきます。
DOCTOR
院長は1999年にコンピューターを応用したセラミック治療の臨床と研究に着手し、2010年にCERECの開発者であるチューリッヒ大学 Werner Mörmann 教授のもとへ留学して直接指導を受けました。
院長 風間 龍之輔(歯学博士)は、1999年より国内外の大学において、コンピューター(CAD/CAM)を応用したセラミック修復を専門として臨床・研究・教育に従事してきました。研究では、修復物が口の中でどのように変化するか、二次う蝕をどのように抑制するかを中心に取り組んでいます。
臨床と研究を始めた1999年当時、日本にはこの領域を専門とする歯科医師がほとんどおらず、得られる情報にも限りがありました。そこで開発者から直接学ぶためにチューリッヒ大学へ留学し、患者様への説明の仕方から治療手技、装置と材料の扱い、装着後の予後観察の方法までを現地で学びました。
帰国後は、大学での研究・教育活動と並行して、歯科医師向けの講演・指導を行っています。現在も年間50回を超える講演を行い、松本歯科大学 歯科保存学講座の臨床教授として臨床講義を担当しています。
EVIDENCE
CERECには30年以上の追跡報告があります。初期の機種で製作されたインレー・アンレーを最長27年追跡した研究では、カプランマイヤー法による成功率は87.5%と報告されています。
この治療法は1980年代に臨床応用が始まり、当時装着された修復物を追い続けた長期の報告が蓄積しています。当院の治療方針は、こうした研究結果を踏まえて組み立てています。
1989年から1991年初頭に初期機種(CEREC 1)で製作されたインレー・アンレー200個のうち141個を、最長26年10か月にわたり再評価した研究では、カプランマイヤー法による成功率は87.5%でした1。失敗の78%はセラミックの破折(65%)または歯の破折(13%)によるもので、小臼歯は大臼歯より失敗リスクが低いと報告されています。
同じ集団を15年間追跡した先行報告では、17年時点の成功率は88.7%でした2。失敗21個(11%)のうち76%はセラミックまたは歯の破折で、残りはう蝕(19%)と歯内療法上の問題(5%)でした。
ドイツの診療所で1987年から1990年に装着された1,011個のセラミック修復について、16.7年時点のカプランマイヤー値は84.4%、「修復物が残っている」ことを基準にすると89%と報告されています3。生活歯は失活歯より成績が良く、象牙質接着材の使用が成功率を高めたとされています。
2,328個のCEREC修復を対象とした報告では、9年時点の生存率は95.5%でした4。修復物の大きさ、歯の生活反応の有無、上下顎の別による有意な差は認められなかったと報告されています。
CEREC 3で製作した臼歯部のショルダークラウンを最長12年追跡した研究では、生存率は大臼歯95%、小臼歯94.7%でした5。この研究は、院長が師事した Mörmann 教授との共著によるものです。
14件の臨床研究を統合したシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、セラミックのインレー・アンレー・オーバーレイの推定生存率は5年で92〜95%(5,811個)、10年で91%(2,154個)と報告されています6。失敗の内訳は破折・チッピング4%、歯内療法上の問題3%、二次う蝕1%、脱離1%でした。
なお、最長27年といった報告は初期の機種・材料によるものであり、現在の機種・材料の成績をそのまま示すものではありません。また、これらは統計上の数値であり、個々の患者様の結果を保証するものではありません。かみ合わせ、歯ぎしりの有無、残っている歯質の量、日々のお手入れと定期的なメンテナンスの受診によって経過は変わります。
COST
即日セラミック治療は公的医療保険が適用されない自由診療です。CERECガラスセラミック(5年保証)の費用は治療費のページに掲載しています。別途、初診料と再診料がかかります。
| 治療項目 | 費用 |
|---|---|
| 初診料 (相談、問診、口腔内診査(P検査含む)、レントゲン検査、口腔内写真) |
28,000円 |
| 再診料 (2回目以降の来院時) |
5,500円 |
| 定期検診 (咬合診査、歯周検査、う蝕検査) |
11,000円 |
いずれも症例により異なります。診査のうえでご説明します。
カザマデンタルクリニック(自由診療専門) 〒104-0061 東京都中央区銀座2-6-5 藤屋ビル4階
電話 03-3538-3345 メール info@kazama.dental
診療時間 火・水・金・土 10:00-18:30(月・木・日曜祝日休診)
WARRANTY
CERECガラスセラミックは装着日から5年間の保証の対象です。むし歯の治療として行う場合は、医療費控除の対象として申請いただけます。
CERECガラスセラミックは、装着日から5年間の保証の対象です。保証の条件については、治療前にご説明します。
セラミック治療を長期にわたり機能させるためには、かみ合わせの確認と、むし歯・歯周病の予防が欠かせません。定期的なメンテナンスの受診をお願いしています。
むし歯の治療として行う修復は、医療費控除の対象として申請いただけます。歯の色や形の改善のみを目的とする審美目的の治療は、控除の対象外となります。
制度の概要や申告方法については、治療費のページの「医療費控除について」をご覧ください。判断に迷われる場合はご相談ください。
RISK
即日セラミック治療は自由診療(保険適用外)です。治療にあたり、次のような事象が生じることがあります。
FAQ
所要時間、費用、1日で終わらない場合、耐久性など、ご相談の多い項目をまとめました。
多くのケースで、削る処置から装着までを1回の来院で完了できます。ただし、すべての方が1日で終わるわけではありません。
むし歯が深く歯の神経(歯髄)の処置が必要になった場合、土台の再構築が必要な場合、治療する本数が多い場合、既製のセラミックブロックの範囲では色調を合わせにくい場合などは、複数回に分けます。診査の段階で見通しをご説明します。
約1〜2時間が目安です。削る処置、スキャン、設計、削り出し、試適、接着、かみ合わせの調整までを続けて行います。本数や部位により異なります。
この治療法はまとまった診療時間を必要とします。当院は自由診療専門で、1人の患者様に対してこの時間を確保できる予約体制をとっています。
粘土のような印象材による型どりは行いません。3D光学スキャナーで歯の形を直接データとして読み取ります。
嘔吐反射が強い方の負担が軽くなるほか、石膏模型を技工所へ郵送する工程がないため、模型の変形といった要因も減ります。
違います。保険で用いられるCAD/CAM冠は、主にレジン(樹脂)を主成分とした材料を使います。当院で用いるのはガラスセラミックのブロックです。
当院は自由診療専門のため、保険診療は行っておりません。材料の性質、製作方法、かけられる診療時間が異なります。
ご相談を承っています。金属を外したあとの歯質の状態によって、適応となる修復の種類が変わります。
金属の下でむし歯が進行していることもあり、外してみて初めて範囲が分かる場合があります。その場合は、当日の処置内容を変更してご相談することがあります。
セラミックは強い衝撃を受けると破損することがあります。長期の追跡研究でも、失敗の主な原因はセラミックまたは歯の破折でした1。
破損した場合も、設計したデータが保存されているため、同じ形の修復物を再度製作することが可能です。歯ぎしり・食いしばりの傾向がある方には、就寝時のマウスピースの併用をお願いする場合があります。
むし歯を除去して歯の面を整える処置を行うため、多くの場合は局所麻酔を用います。
削った量が大きい場合や、むし歯が深かった場合は、治療後に一時的に冷たいものがしみることがあります。多くは経過とともに落ち着きますが、症状が続く場合はご相談ください。
できるだけ残す方針で治療します。接着を前提とした設計により、修復物の厚みを確保するためだけに歯を削る量を抑えられます。
ただし、むし歯が歯髄に達している場合には、歯髄の処置が必要になります。その場合は1日で完了しません。診査の段階でその可能性をご説明します。
可能です。前歯の色・形・すきま・欠けに対しては、薄いセラミックを接着するセラミックラミネートベニアも行っています。
ただし、周囲の天然歯との色調再現の要求が高い症例では、歯科技工士が1歯ずつ調整する製作方法のほうが適していることがあります。即日で仕上げることを優先して結果が損なわれないよう、診査のうえでご提案します。
本数が増えるほど所要時間が延びます。本数、部位、かみ合わせの条件によって、同日に行う範囲を分けてご提案します。
1回の来院で複数本を治療することも可能ですが、無理に1日にまとめることはいたしません。
CERECガラスセラミックは、装着日から5年間の保証の対象です。保証の条件については、治療前にご説明します。
セラミックを長く機能させるには、かみ合わせの確認とむし歯・歯周病の予防が重要です。定期的なメンテナンスの受診をお願いしています。
むし歯の治療として行う修復は、医療費控除の対象として申請いただけます。歯の色や形の改善のみを目的とする審美目的の治療は対象外です。
制度の概要は治療費のページの「医療費控除について」をご覧ください。判断に迷われる場合はご相談ください。
はい。破折、脱離、境目の着色、しみる、かみ合わせの違和感などについて、原因の診査からご相談を承っています。
詳しくはセラミック治療のトラブルの再治療のページをご覧ください。
1回で完了することを目標に計画しますが、状態によっては複数回が必要になります。遠方からお越しの場合は、その旨を初診時にお知らせください。可能な範囲で来院回数を抑える計画をご提案します。
なお、装着後の経過観察と定期的なメンテナンスは、治療の一部としてお願いしています。
REFERENCES
本ページの記載は以下の文献に基づいています。掲載した数値は各研究における統計値であり、個々の治療結果を保証するものではありません。
ACCESS